こんにちは。フリーランスイラストレーターのオデと申します!
今回は イラストを描いている時に初心者の方が直面しやすい問題…「描き出してから迷走して結局中途半端なイラストに仕上がっちゃう!問題」に頭を悩ませている方に向けて、わたしが普段行っているやり方を元にした解決案を書いていきます。
初心者でない方も参考になる部分があれば嬉しいです。
描き始める前に…
白いキャンパスにぼんやりとしたイメージのままラフを描いて、その線を清書する…ドキッとした方いませんか?
そうです!このやり方こそが迷走を生み出してしまう大きな要因なのです。
頭の中で思い浮かべたものをそのまま描き出そうとすると、どこから手を付けていいか分からなくなってしまいます。例え最高のイメージやアイデアが浮かんだとしても、「よし!これはバズるぞ!!」と意気込んですぐにペンを走らせようとするのは危険です。まずは一旦アイデアを温めておきましょう。
スムーズに筆を進めるにあたりいくつかの準備をしておきます。
その準備とは「イメージの言語化」「キャラクター設定」です!
何も考えずに、いざペンを走らせようと思っても「ところでどんなキャラクターにしようとしていたんだっけ?」「あれ、思っていた構図と全然違うし何だかパッとしないイラストになっちゃった…」という事態になりかねません。これでは時間がちょっともったいないですよね。
そこで、前述した「イメージの言語化」と「キャラクター設定」の出番です。
Step1 イメージの言語化
「イメージの言語化」にはコツがあります。
イラストの構図、サイズ、モチーフとなるカラーはどのような色か、配置する人数は何人なのか、他の動物や小物が必要なのか…などを思いつく限り挙げていくのですが、ここでダラダラと長い文章で書き出そうとしたり、言語化したイメージの数が多すぎるとかえって混乱を招いてしまいます。
「イメージの言語化」のコツは、簡潔に絞り込むことです!
例えばこのような感じに書きます。
「デフォルメデザインの女の子のイラストを正方形キャンバスにバストアップで描く」
「キャラクターのカラーは濃い色のピンクをベースにする」
「衣装はメイド服で武器を持たせる」
OK例
「セーラー服の女の子が夕陽を背景にこちらへ振り向いている構図」
「縦長のフカン絵でドラゴンと背中に乗る勇者をメインに、街を見下ろしている構図」
NG例
「可愛い女の子と空の絵」
「空を見上げるとドラゴンが飛んでいる構図をアオリで描く。その背中には実は勇者が乗っていて…あれ、勇者が乗っていることをどうやって描けばいいんだろう?」
どうでしょうか?オデの性癖はさておき 言語化することで何となくイラストのイメージがしやすくなったと思います。
まずはこのステップで土台作りをしましょう。土台がしっかり決まっている方が描き始めてからの迷いの時間を減らすことができますし、ラフの構図も掴みやすくなります。
Step2 キャラクター設定
Step1で土台となるイメージを構築できたら、ここからはさらにイメージを掘り下げていきます。
ここで出番となるのが「キャラクター設定」です!
こちらはイメージの言語化よりも詳細に書き出した方が良かったりします。が、ここで言う詳細に書くというのはあくまでも簡潔な文章で多くの情報量を挙げることです。
先ほどのステップで実際に出した例を使ってみましょう。
「キャラクターはメンヘラの女の子でピンク色が好き」
「奇抜な衣装を着込んで自分を可愛く・強く見せようとしている」
「気が弱いので困り眉がデフォルトの表情」
このような形でキャラクターの詳細を書き出してみます。あくまでもイラストを描くためのキャラクタ設定なので、経歴だとか出身地だとか好きな食べ物云々とかは省きます。
もちろん、キャラクターデザインをするにあたって必要な情報なら書き出しましょう。
「幼少期に国境の紛争に巻き込まれて右目に傷を負ってしまった青年」
「乾燥地帯で踊り子をしていた少女、肌は小麦色」
「研究所で羊と犬の遺伝子を組み合わせて作られた生き物」
NG例
「少女はナントカ王国のナニナニ街のスラム街でひっそりと暮らしていたが、ある日悪党に襲われそうになったところを助けてくれた騎士団に憧れて、自分で武器を取り戦うことを決めた」
OK例
「スラム出身の地味な少女が、騎士団に憧れ武器を持ってこちらを見据えている」
「ぼろぼろの衣類と綺麗な長剣」
NG例でいう設定はイラストを描く上でのキャラクター設定とは少々異なります。キャラクターそのもののバックボーンに近いです。
このバックボーンはキャラクターにより深みが出るのですが、一枚のイラストにそれら全ての情報を盛り込もうとすると、見ている人は「何だかごちゃごちゃしていて分かりにくいイラストだなあ…」と感じてしまうのです。
一枚のイラストに盛り込む情報量を洗練していくように挙げていきましょう。
ここまでのステップで時間がかかった方はぜひとも練習してみてください。プロのイラストレーターさんでも設定資料を作ることがあるように、自分の中で完成形をどこまで具体的に思い浮かべてられるか、情報を洗練できるかは大切な工程です。
この過程に慣れてきて、書き出さなくても他の人に口頭で伝えられるくらいになると素晴らしいです。アウトプットは一番の学習法、と呼ばれるように自分の考えを発信することでイメージの定着を図りますからね。
Step3 イメージができたら描いてみよう!
Step1、Step2で行ってきた「イメージの言語化」と「キャラクター設定」を元にイラストを描いていきましょう!そうです、ようやくです。さあペンを持って!
ここから先は私のイラストを交えてお話しします。
こちらがラフになります。
各ステップの解説で登場してきた、メンヘラ奇抜衣装の気弱ちゃんです。
例として挙げてきた文章を元に作成しています。
私はキャラクターのベースカラーをラフの色にすることが多いですね。色の系統をパーツごとに変えたりしながら描いています。
こちらがペン入れをした段階です。
ラフの段階より眉毛が下がり、目つきが若干悪くなっています。
武器にクマのマスコットを取り入れようとしたのですが情報が多かったので消しました。余白の問題もありますしね。代わりに、無骨な日本刀をベースにしつつ鍔のデザインにハートを取り入れて可愛らしさを出しました。これによって気弱ちゃんの「可愛いものへのこだわり・執着」が垣間見えるようです。
こちらが色塗りと微調整をして完成したイラストです!
ピンクやハートの要素を散りばめて可愛らしく、返り血で狂気的に、しかし自信なさげな表情でこちらを伺うような構図にすることで情緒の不安定さを表現しようと試みました。やる時はやる女の子ですね。
ベースがピンク色だったので背景はガラッと色味を変えて水色に。全体的に彩度を高くしています。彩度が低いと落ち着いた印象になるのですが、気弱ちゃんは不安定メンタルなので落ち着きがない色ばかり選びました。目に悪い…
おわりに
いかがでしたか? 初心者の方が迷走しやすい描き出し方と、その改善策を紹介させて頂きました。
思いついたアイデアに任せて描くのではなく、まずはアイデアを他に描き出して情報を整理してみましょう。アウトプットの習慣がつけばそこまで苦にはなりませんし、考え方の幅が広がります。
前準備に時間をたくさんかけるよりも、イラストを描く時間に時間を充てましょう。
ここで紹介しているのはあくまで私のやり方であり、他にも様々な描き方があると思います。ぜひ自分に合った方法を探してみてください。この記事が参考になれば嬉しいです。
それではまた次回の記事でお会いしましょう!お疲れ様でした!
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